こんばんは!もずです。
今日は下北沢「駅前劇場」にて劇壇第一回講演「森からきたカーニバル」作:別役実を観劇してきました。
山崎一、劇壇を始動|2018年秋 別役 実「森から来たカーニバル」
キャストも新☆感線の高田聖子さんを筆頭にそうそうたるメンバーが揃い、これを下北沢の小さな小屋で見られるというのはなんて贅沢だという気持ちでいっぱいでした。
今回はその感想を書いていきます。
不条理演劇作家 別役実について
今回の演目「森から来たカーニバル」の作者別役実(べつやく みのる)さんとの出会いは高校1年生の時。
当時僕は演劇部だったんですが、大会の審査員の一人が別役さんだったんです…
今思い返してもやばいですよね。
で、審査員だしどんな戯曲を書いていらっしゃるのか読んでみて、なるほど…分からんとなった懐かしい記憶。分からなかった記憶だけ残ってて何読んだかは覚えてないですが。
そして授業で使っていた国語便覧にも載っていて、うわぁとなり、改めて何が何だか分からんけどとにかくすごい人という認識になりました。
そして大学時代は学生が上演した「やってきたゴドー」を観劇して少し距離が縮まった感覚を持ちました。
ストーリーとして何が何だかわからない支離滅裂だけどなんだかとらえられそうな気がして、意味のあるのかないのかわからないけれど美しく響く台詞たち。そして希望は特にないけれど大きな絶望があるわけでもない停滞感もしくは一歩下がるようなどんよりとした退廃感。
あーこれが不条理劇なんだと感じ、観劇するにはとても楽しいということに気づきました。自分はアホなので絶対に自分がやりたいとは思いませんが…
そんな別役さんの劇を俳優の山崎一さん演出の上プロの芝居で今回見ることができたわけです。
森からきた「カーニバル」とはなんだったんだろう
舞台はとある喫茶店での夫婦の会話からコミカルに始まります。
ところが920ヘクトパスカルの「カーニバル」がやってくるといって人々はてんやわんや。
いざ現れた「カーニバル」は象使いの男と巨大な象。巨大な象ははからずしも人を踏み潰し殺されたり怪我をさせたりと大事態に、しかしそれほど巨大でも自分たちはカーニバルの一端でしかないと象使いの男は言う。
そんなカーニバルに翻弄される人々をかいた話でした。
920ヘクトパスカルで迫るカーニバル(象)はその表現の通り台風などの災害なのかもしれません。ただそれは温帯低気圧だろと言うツッコミにいやカーニバルですと返答しているのでちょっとわからない。
ただ古代の人は自然災害に畏れを持ち祭祀つまりカーニバルを行なったなんて話もあるので災害のメタファーとも考えられるのかもしれない…
けれども象は人を殺すつもりはなくても殺してしまうそしてそれらも含めて何かに対して申し訳ないと思っている。悪気はないのに申し訳ないと思っている。
そして人は象に対して悪いことをしていないのに申し訳ないと思っているのはおかしいと言ったり、その行いに憎しみをぶつけられたらちゃんと抵抗しろと言ってきたり、挙句私も踏み潰してーと嫌がっている象に敢えて自分たちを殺させようとしたりしてくる(このシーンの狂気がすごかった)
いや、大人になってもわけわかんないですよね…
不条理劇って戦争などのメタファーもわりとあるので災害だけでなく人を熱狂させるほど恐ろしい何かくらいに捉えていた方がいいのかもしれません。
わからないのになぜだか言葉はぐっと刺さり、頭をトンカチで殴られるような感覚になり、そしてもう一度この世界に触れてみたいと思える。ランタイムも80分ですしね。
あー演劇ってこんな世界を見せてくれるんだという新鮮さと一度触れたら戻ってこれないような不気味さを持っている芝居でした。
そしてそれだけの世界観を作る演出、舞台、役者さんたちのすごさが身に沁みました。
この劇12月9日まで上演してますので、なに言ってんだろこの人でも気になると思ったら是非行って観劇して欲しいです。
それでは!